労働時間について・・・その4(労働時間の適用除外労働者)

プチ研修

平成21年6月

労働時間について・・・その4 (労働時間の適用除外労働者)

 

Ⅰ.労働時間の適用除外とは

労働基準法第41条において、農水産業従事者、管理監督者等、監視断続的労働従事者、宿日直勤務者については、同法に定める労働時間、休憩、休日に関する規定は適用しないものとしています。これは、労働の態様から労働時間等の規制を行うことが適当ではない、と判断されているためです。

 

Ⅱ.対象業務とその理由

(1)農水産業従事者 作業が天候などの自然条件によって左右される。

(2)管理監督者等

①管理監督者・・・労務管理に関し経営者と一体的な立場にあり、出・退社について厳格な制限を受けず、その地位にふさわしい待遇もなされている。

②秘書・・・職務が経営者または管理監督者と一体不可分であり、機密の事務を取り扱っている。

(3)監視断続的労働従事者(※ただし、所轄の労基署長の許可が必要。)

①監視労働従事者  一定部署において監視労働に従事する者。常態として身体の疲労または精神的緊張が少ない。

②断続的労働従事者 本来の作業が間歇的に行われる断続的労働に従事する者。手待ち時間が多く実作業時間が継続せずかつ少ない。

(4)宿日直勤務者(※ただし、所轄の労基署長の許可が必要。)

通常勤務に比べて宿日直勤務中の労働密度がうすい。

※宿日直勤務とは、仕事の終了から翌日の仕事開始までの時間や休日について、労働者を事業場で待機させ、電話の応対、火災等の予防のための巡視、非常事態発生時の連絡等に当たらせるもの。一定額の手当の支給や、勤務回数等の許可基準がある。

③管理監督者の問題(名ばかり管理職)

名ばかり管理職とは、実態は管理職としての権限や裁量が無いにもかかわらず、上記労働基準法第41条2項に該当する、労働時間・休憩・休日の適用が除外された管理監督者として扱われている労働者を指し、過重労働による体調不良や割増賃金の不払いといった問題が生じています。

従業員の採用、指揮命令、人事評価または懲戒権の行使等につき、経営者と一体的な立場でこれを行い、勤務上も事業所に拘束されることがなく(一般従業員の代替要員にもならず)、時間あたりの賃金(実際に働いた時間を基に計算したもの)も、一般従業員に比べて大きく上回っている者など、厳密に解釈すれば上級管理職しか対象にはなり得ないかもしれません。

日本マクドナルドやAOKIなど、飲食・小売業においては、今までの管理職を非管理職に変更して賃金処遇を行う会社も出始めています。今後も管理監督者の問題を注視していく必要があります。