高年齢者雇用安定法と助成金

プチ研修

平成24年11月

高年齢者雇用安定法と助成金

 

Ⅰ.高年齢者雇用安定法とは

高年齢者雇用安定法とは、正式には「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」といい、高齢者や求職中の中高齢者など(高齢者等)に対して、雇用の確保や再就職の支援措置などを国や地方公共団体あるいは事業主に義務づけている法律です。

 

Ⅱ.高年齢者雇用安定法の第8条、第9条

高年齢者関係の助成金を申請するときに、必ず確認を求められる高年齢者雇用安定法の第8条および第9条の内容とは以下のとおりです。

 

<第8条> (定年を定める場合の年齢)

事業主がその雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という。)の定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない。・・・・以降省略。

 

⇒ 定年を設けるときはその年齢を60歳以上にしなければいけないということです。

 

<第9条> (高年齢者雇用確保措置)

定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない。

一 当該定年の引上げ

二 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入

三 当該定年の定めの廃止

※2項省略

 

⇒ 定年年齢を65歳に引き上げるか、65歳までの継続雇用制度を導入するか、定年そのものをやめるか、いずれかの措置を行ってくださいということです。ただし、記載を省略しましたが第9条の2項において、上記二の継続雇用制度については、労使協定を結んで対象者の基準を設けて運用しても良いこととされており、多くの企業がこの第9条に基づく高年齢者雇用確保措置として、労使協定に基づく継続雇用制度を導入しています。ところが、このたびの法改正により来年の4月1日以降は基準を設けることができなくなりました。そこで各企業では今後どのように運用すればよいのか検討を始めています。今月号の便りにもあるとおり、厚労省でもこの基準廃止に伴う例外内容を検討しており、その詳細が11月に発表される予定です。

 

Ⅲ.中小企業定年引上げ等奨励金

来年の4月1日から希望者全員65歳雇用が完全実施されることで、現在ある中小企業定年引上げ等奨励金が来年の3月末日で廃止になります。この奨励金の内容は簡単に言うと以下のとおりです。

 

<支給対象事業主>

次のいずれかの措置を講じている中小企業事業主(雇用保険の被保険者数が300人以下の事業主)

① 65歳以上への定年の引上げ

② 定年の定めの廃止

③ 希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度の導入

④ 希望者全員を対象とする65歳以上70歳未満までの継続雇用制度と同時に労使協定に基づく基準該当者を70歳以上まで継続雇用する制度の導入

 

支給金額は実施内容と企業規模により20万円~120万円です。また、いずれも雇用保険に1年以上加入する60歳以上の労働者が最低1人以上いないと支給対象にはならず、その他の要件もあります。ご興味がありましたら当事務所までご連絡ください。