最低賃金が改正されました

プチ研修

平成24年10月

最低賃金が改正されました

 

Ⅰ.最低賃金とは

最低賃金とは、国の最低賃金法という法律にもとづいて、事業主が最低この金額以上を労働者に支払わなければならないとされた賃金額のことであり、この制度を最低賃金制度と言います。

この最低賃金制度の目的は、労働契約上立場の弱いとされる労働者の生活の安定や、事業所間の公正な競争を図るためとされています。

 

Ⅱ.最低賃金の種類

最低賃金には2種類あり、どちらも時間当たりの最低賃金額を定めています。

 

<地域別最低賃金>

全国47都道府県ごとに定められた最低賃金額であり、今年は9月30日の三重、大阪府から始って、まだ決まっていない富山県まで、順次都道府県別に新たな最低賃金額が発効されます(別紙一覧表をご参照ください)。

全国一律に最低賃金額が発効されないのは、各都道府県で行われる最低賃金審議会において労使の意見が対立し、なかなか金額がまとまらないからです。最後には中立的立場の公益委員が仲裁して決定しているようです。

 

<特定産業別最低賃金>

特定の産業に従事する基幹的労働者に対する最低賃金であり、平成24年4月1日現在、全国で246件の最低賃金額が定められています。これは同じ特定産業であっても各都道府県別に金額が違うものもあり、246種類の産業について定めているものではありません。また、都道府県によって該当する特定産業にも違いがあり、例えば千葉では調味料製造業を含む7件、東京では出版業を含む5件が特定産業別最低賃金となっています。

 

Ⅲ.最低賃金の対象となる賃金

最低賃金は、あくまで所定労働時間働いたときに支給される賃金のみを対象としており、以下のものを除きます。また月給者の場合は月の所定労働時間で月給を割って時間当たりの賃金額を算出します。

①精皆勤手当、通勤手当および家族手当

②時間外労働に対する割増賃金、深夜労働に対する割増賃金、休日労働に対する割増賃金

③臨時に支払われる賃金(慶弔手当など)および1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

 

Ⅳ.最低賃金の対象者の例外

原則として、アルバイト・パートを問わず全ての労働者が最低賃金の対象者となります。ただし例外として、一般の労働者よりも著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を適用すると雇用機会を狭めてしまうおそれがあるため、次の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件に、個別に最低賃金の減額の特例が認められています。

①精神または身体の障害により著しく労働能力の低い人

②試の使用期間中の人

③基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている人のうち厚生労働省令で定める人

④軽易な業務あるいは断続的な労働に従事する人

※実際には、最低賃金の減額特例を受けるのは容易ではありません。まず申請書を出した後に現場確認が入ります(千葉県の場合)。試用期間中でも通常労働者とあまり変わらない作業を行っている場合には認められることはないでしょう。

 

Ⅴ.最後に

最低賃金は今回の改正により、昨年と比べ全国平均では12円上がりました(全国平均で749円)。生活保護の受給額より最低賃金で働いた場合に手取り額が少なくなる「逆転現象」がある都道府県は、昨年までの11か所から6か所に減りましたが、これ以上の最低賃金上昇は使用者側に大きな負担を強います。国は生活保護費の見直しなどの対策を是非進めていただきたいと思います。

以上