労働者名簿、賃金台帳について

プチ研修

平成25年11月

労働者名簿、賃金台帳について

Ⅰ.労働者名簿とは

使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。

2 前項の規定により記入すべき事項に変更があつた場合においては、遅滞なく訂正しなければならない。

(労働基準法第107条)

 

労働者名簿とは、上記条文どおり本社と営業所のように事業場が異なっても、各事業場ごとに備え付けが義務付けられた労働者の名簿のことであり、法律が定める記載事項は次のとおりです。

①氏名 ②性別 ③生年月日 ④住所 ⑤雇入年月日 ⑥従事する業務の種類(従業員が30名未満の場合は必要なし) ⑦履歴 ⑧退職年月日及びその事由 ⑨死亡年月日及びその原因

また、記載事項に変更があった場合には、その都度、記載内容も変更する必要が生じます。

 

一般的には、法律が定める記載内容だけでなく、基礎年金番号や雇用保険番号、また社会保険(健康保険・厚生年金)の整理番号等を記載されているものも多く見かけます。また、電話番号や扶養親族名の欄を設ける、あるいは人事記録簿とセットになっている企業もあります。

労働者名簿は、普段活用の機会がなく、あまり重要度も高くないものではありますが、時折使用する機会も生じます。それは以下のようなケースです。

◎社会保険・雇用保険等の資格取得・喪失手続きの際に、必要に応じて確認書類として添付する。

特に、雇用保険の離職票交付手続きを行う場合に、本人の退職届の代りに用いることがあります。

 

Ⅱ.賃金台帳とは

使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

(労働基準法第108条)

賃金台帳とは、賃金計算の算出基礎となる事項および賃金額等について、それを支払う都度作成が義務付けられた賃金の台帳のことです。法律が定める記載事項は以下のとおりです。

①氏名 ②性別 ③賃金計算期間(日雇い労働者を除く) ④労働日数 ⑤労働時間数 ⑥時間外労働時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数(労働時間等の適用除外者は深夜労働時間数のみ)⑦基本給、手当その他賃金の種類ごとにその金額(現物給与はその評価額) ⑧賃金の一部を控除した場合は、その金額(保険料、税、労使協定で定めたもの)

賃金台帳は、労働時間数(特に時間外や休日、深夜労働時間数)の記載がないものをたまに見かけます。この部分は本来賃金計算の算出基礎に当たるため、労基署の監査が入った場合には是正事項として指摘される部分です。

 

Ⅲ.最後に

労働者名簿も賃金台帳も法定帳簿であり、作成を怠り、また必要な記載事項が無い場合には罰則の適用があります(30万円以下の罰金 労働基準法第120条第1号)。

また、3年間記録の保存が義務付けられていますのでご注意ください。