労働時間について

プチ研修

平成25年10月

労働時間について

Ⅰ.なぜ労働基準法では労働時間に関する条文が多いのか?

労働基準法は戦後間もない昭和22年に制定されました。そこには、労働者保護の目的のもと様々な労働条件の最低基準が設けられましたが、特に労働時間の項目だけが多かったわけではありません。法定労働時間は1日8時間、週48時間と定められました。

それが、今では関連する項目も含めれば条文数で一番を占めるようになりました。それは昭和63年4月に、原則として週の法定労働時間の上限が48時間から40時間に変更されたことが大きな要因です(1日は8時間のまま)。この週40時間が達成できるよう漸次低減していく移行措置も設けられましたが、国としても企業が何とか遵守できるように様々な労働時間制度を新たに設けました。それが「変形労働時間制」と「労働時間のみなし制度」です。

Ⅱ.変形労働時間制&労働時間のみなし制度の種類

① 変形労働時間制には以下のものがあります。

a.1カ月単位の変形労働時間制(第32条の2)

b.フレックスタイム制(第32条の3)

c.1年単位の変形労働時間制(第32条の4、32条の4の2)

d.1週間単位の非定型的変形労働時間制(第32条の5)

変形労働時間制とは、業務の繁閑に応じて弾力的に労働時間を設定することでその対象期間(一部、清算期間ともいう)を通して法律上の労働時間の上限である週40時間以内に収まるよう労働時間を設定できる制度のことです。

② 労働時間のみなし制度には以下のものがあります。

e.事業場外労働のみなし労働時間制(第38条の2)

f.専門業務型裁量労働制(第38条の3)

g.企画業務型裁量労働制(第38条の4)

※ fとgは平成に入ってから出来た制度です。

労働時間のみなし制度とは、実際には8時間あるいは10時間働いたとしても、みなし労働時間として設定した時間(例えば9時間)働いたものとみなす制度です。

どちらも制度として導入するためには、様々な条件があります。

 

Ⅲ.労働時間になる・ならない?の把握も重要

また、労働者のある行為が労働時間になるのかorならないのかを把握することも重要です。事業主の認識としては労働時間ではないと思っていても実際は違うケースもあり、またその逆のパターンもあります。

これは、社内規程(例えば就業規則)でルール化し、周知することで対処していくしかないと思います。ただし、社内規程にかかわらず判例上において労働時間と認められる行為もあり、また会社の取り組み方によっても変わるような微妙な部分もあり、線引きをするのが困難なケースも見られます。

ただし、はっきりと言えるのは、会社が各々の労働者の労働時間を把握していないと、問題が起こった場合に不利な状況に陥る可能性が極めて高くなります。何故ならば、監督官庁を所管する厚労省の通達でも労働時間の状況把握を事業主に義務付け、また判例等をみても労働者の主張が認められるケースが多く見られるからです。

 

Ⅳ.最後に

結論から申し上げますと、いかなる監査にも対応できるよう労働時間管理を行っていくべきだと考えます。労働時間は賃金と関係しているので尚更です。しっかりと労働時間管理を行って、堂々と業務を進めて行きましょう。

 以上