キャリアアップ助成金のご案内

プチ研修

平成26年7月

キャリアアップ助成金のご案内

 

先月も助成金をご案内しましたが、今月はその中の一つであるキャリアップ助成金について改めて触れたいと思います。

 

Ⅰ.キャリアアップ助成金とは

有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアップ等を促進するため、正規雇用への転換、人材育成、処遇改善などの取組を実施した事業主に対して助成金を支給する制度です。

 

Ⅱ.キャリアアップ助成金の概要 ・・・ 詳細は別紙をご参照ください。プチ研修 H26.7 キャリアップ助成金リーフレット

 

(1) キャリアアップ助成金には、大きく分けて以下のとおり6種類あります。

①正規雇用等転換コース    ④健康管理コース

②人材育成コース       ⑤短時間正社員コース

③処遇改善コース       ⑥短時間労働者の週所定労働時間延長コース

①正規雇用等転換コースとは、有期契約労働者等が無期あるいは正規雇用に転換できる制度を設け、実際に転換者が出た場合に助成するものです。

②人材育成コースとは、有期契約労働者等に職業訓練を行った場合に、その費用を助成するものです。

③処遇改善コースとは、有期契約労働者等に対応する賃金テーブルを、3%以上(平成26年3月1日~平成28年3月31日までの間は2%以上)増額させた場合に助成するものです。

④健康管理コースとは、法定外の健康診断を行う制度(例えば人間ドック等)を新たに規定し、短時間で働く有期契約労働者等に延べ4人以上実施した場合に助成するものです。

⑤短時間正社員コースとは、労働者が希望した場合に短時間正社員として雇用できる制度を設け、実際に該当者が出た場合に助成するものです。

⑥短時間労働者の週所定労働時間延長コースとは、週所定労働時間が25時間未満の有期契約労働者等を、本人が希望した場合に週所定労働時間30時間以上の社会保険適用者として雇用する制度を設け、実際に該当者が出た場合に助成するものです。

 

(2) 助成金額は以下のとおり(すべて中小企業事業主の場合です)。

①正規雇用等転換コース

イ.有期契約労働者から 正規雇用に転換

1人あたり40万円(H26.3.1~H28.3.31迄の間の転換は50万円)

ロ.有期契約労働者から 無期雇用に転換

1人あたり20万円

ハ.無期雇用労働者から 正規雇用に転換

1人あたり20万円(H26.3.1~H28.3.31迄の間の転換は30万円)

※H26.3.1~H28.3.31迄の間に、派遣労働者を正規雇用で直接雇用した場合には、上記プラス10万円が加算されます(イの場合)。

②人材育成コース ・・・ 実施期間が1年以内のOff-JTによる一般職業訓練の場合

※職業訓練1コースあたり20時間以上あることが条件になります。また、ジョブカードを活用した有期実習型訓練に対する助成もありますがここでは割愛します。

イ.賃金助成・・・1人1時間あたり800円

ロ.経費助成・・・1人あたりOff-JTの訓練時間数に応じた金額

100時間未満 10万円 (実際の経費が左記より少ない場合はその金額まで)

100時間以上200時間未満 20万円  (        同      )

200時間以上       30万円  (     同          )

③処遇改善コース

すべての有期契約労働者等の基本給の賃金テーブルを改定し、3%(H26.3.1~H28.3.31迄の間は2%)以上増額させた場合に、1人あたり1万円(ただし、1年度1事業所あたり100人まで)

また、この増額に際して職務評価を実施して行った場合には1事業所あたり20万円を加算。

④健康管理コース

1年未満の有期契約労働者あるいは短時間労働者を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上実施した場合に 1事業所あたり40万円(ただし、1回のみ)

⑤短時間正社員コース

短時間正社員制度を規定し、雇用する労働者を短時間正社員に転換し、または短時間正社員を新規で雇入れた場合に、1人あたり20万円(ただし、次に述べる短時間労働者の週所定労働時間延長コースの人数と合計して、1年度1事業所あたり10人までが限度)

⑥短時間労働者の週所定労働時間延長コース

週所定労働時間25時間未満の有期契約労働者等を週所定労働時間30時間以上に延長した場合に、1人あたり10万円(ただし、短時間正社員コースの人数と合計して、1年度1事業所あたり10人までが限度)

 

Ⅲ.キャリアアップ助成金の活用例

例えば、有期契約労働者が3名いる企業であれば、その人材育成を目的に職業訓練計画を立て、実際に20時間以上のOff-JTを実施した場合に労働者1人あたり1時間800円の賃金助成が受けられ、かつ30万円(1人あたり10万円)を限度に訓練経費助成が受けられます。

 

また、その有期契約労働者が希望した場合に、企業のルールに従って正規雇用に転換した場合には、仮に3名とも正規雇用になれば150万円(1人あたり50万円)の助成が受けられます。

 

あるいは上記のようなケースでなくとも、将来的にフルタイムで働きたいと考えている短時間労働者の方が数名おり、会社も同意できるのであれば、短時間労働者の週所定労働時間延長コースを計画しておいて、実際に計画期間内に対象者が出れば1人あたり10万円の助成が受けられます。

 

ただし、キャリアップ助成金を受給するに当たり気をつけなければならないことは、事前にハローワークにキャリアアップ計画書を提出して確認を受ける必要がある点です。また人材育成コースの場合には訓練計画届の提出も必要です。

 

これは助成金全般にいえることですが、事前に計画届を提出するなど決められた手続きを踏まないと、いざ該当者が出ても受けられないということがよくあります。実際に対象者が出るかわからない場合でも、可能性があれば計画書の作成・提出をしておいた方が良いでしょう。

 

助成金のためだけではなく、組織活性化のために、社員のモラル・モチベーションアップのために規則・規程の見直しを考えておられるのであれば、事前に必要な準備を行い、該当者が出た場合に助成金を頂くことは、その助成金の主旨にあった素晴らしい形だと思います。

 

キャリアアップ助成金は、パート・アルバイトや契約社員のいる事業所様に活用して頂きたい助成金です。

以上