就業規則と助成金の関係について

プチ研修

平成26年6月

就業規則と助成金の関係について

 

今月は、就業規則と助成金の関係についてご案内したいと思います。

 

Ⅰ.就業規則とは

就業規則とは、プチ研修その他で何度も取り上げているのでご存じの方も多数おられますが、簡単に申せば、就業に関するルールを記載した書面といえるでしょう。

この就業規則に関しては、作成や届出や周知(従業員に知らせる)の義務が、一定の人数規模以上の労働者を使用する事業主に法律上課せられています。

就業規則の内容についても、絶対に記載しなければならないもの、従業員にあまねく適用される場合に記載しなければならないもの、そして事業主が好きなように記載していいもの(公序良俗に反するものはダメですが)の三つに分けられています。

就業規則を作成する上で注意しなければならないことは、法令に違反するものは作成できないこと、また事業場の実態に合わないものは作成しても意味がないこと、また一度作ったらそれは法令に違反しない範囲で拘束力を持つこと(事業主も従業員も守る義務が生じること)です。

今回、非常にざっくばらんにご案内しており、現実的には、就業規則を作成する上で法令を遵守するため、多少は実態を超える部分が生じることはあります。また、作成しても届出をしないor従業員に周知していない・・・といったケースによって拘束力が違ってくることもあります。

 

Ⅱ.助成金とは

助成金とは、簡単に申せば事業主が何かに取り組んだときに、その取組みを助けるために国が支給してくれるお金のことです。

ここで取り上げる助成金とは、厚生労働省管轄のものであり、事業主の取組みに関しては、人の採用や教育訓練、継続雇用や労働条件の改善など従業員に関するものに限られますが、色々な分野の取組みに関して助成金の制度は恐らくあると思われます。

厚生労働省管轄の助成金にも様々なものがありますので、別添の資料(平成26年度 雇用関係助成金の案内 簡略版)でご確認ください。http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000059847.pdf

助成金の支給申請で注意しなければならないことは、結構要件が細かく厳しい部分があることです。従業員にとって良かれと思って取り組んでも、事前に制度を設けてなければ支給対象にならない、また、就業規則の改正が生じる場合に、より従業員有利の規定を役所が求めてくる、といったこともあります。申請期間も注意が必要で、遅れた場合に申請を受け付けてくれないケースもあります。

 

Ⅲ.就業規則と助成金の関係

この就業規則と助成金に関してですが、実は以前にも申しましたが、就業規則を作成(あるいは大幅に改正)し届出すると、その後に助成金の支給対象になることが結構な頻度であります。

この話は嘘偽りではなく本当です。実際の例では、就業規則の作成において高齢社員の存在を知り、継続雇用の助成金を、出産予定社員の存在を知り育児関係の助成金を、また育児で短時間勤務の女性社員を知り両立関係の助成金を、それぞれ申請あるいはやり方を教えて申請してもらったことがありました。

また、就業規則と直接の関係はないのですが、就業規則の作成後、たまたま助成金の支給対象者を採用する形になったことも数度あります。また残念なケースとしては、取り組んだもののなかなか届出まで進まず、そのうちに支給対象者が出てしまい残念ながら受けられかったケースもありました。

助成金自体は一回につき30万円~120万円程度とバラつきはありましたが、一度ではなく何度も受けられるケースも過去にあり、ある10名程度の事業所では5年間で確か600万円ほどになったと記憶しています。

この就業規則と助成金の関係ですが、私が今回ふと思い出してわざわざ皆様にお知らせするのは、上記の助成金の申請は、そのほとんどが当初は助成金目的の理由で就業規則の作成にかかわったものではないという点です。

逆に申せば、あくまで助成金はおまけであり、就業規則を作成する(した)本来の理由は、従業員の人数が10人を超えた・もう何年も見直しをしていない・労使トラブルが起きた・退職金制度を導入する等々、ある意味仕方なくやり始めたケースが、私の場合は多かったのです。

よって、結果的に助成金が受給でき、就業規則の作成の費用以上にお金が入ってきて良かったということになるのですが、勿論、偶然だと思うものの、就業規則の作成や改正に取り組むことは、会社だけでなく従業員にとっても良いことであり、それが関係しているのだろうかと思った次第です。

このように考えてしまったのは、ある勉強会で「出せば入る」ということを教わったためです。相手のことを思ってできることをすれば、自分にそれ以上のことが返ってくるという意味だそうですが、今後もこのようなケースが続くかどうか見守りたいと思います。

無論、今まではどちらかと言えば10人以上の従業員がいる事業所に対して就業規則の作成を行ってきましたので、今後10人未満の事業場において作成した場合に変化があるのか、何も起こらないということも当然考えられ、検証させていただける事業場がもしあれば幸いです(笑)。

以上、今回は就業規則と助成金というテーマでご案内しました。どちらも経営目的の実現に近づくものだと思います(就業規則は当然近づくものでしょう)。機会があればご提案したいと存じますので宜しくお願いいたします。

以上