パートタイム労働法について

プチ研修

平成25年5月

パートタイム労働法について

 

Ⅰ.パートタイム労働法とは

パートタイム労働法とは、正式には「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」といい、短時間労働者が増え続けている状況に鑑み、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を事業主に義務付けることで、短時間労働者の能力の有効発揮と経済及び社会の発展につなげることを目的とした法律のことです。

 

Ⅱ.パートタイム労働者の定義

この法律でいう短時間労働者(パートタイム労働者)とは、その1週間の所定労働時間が、同一の事業所に雇用される通常の労働者に比べて短い者をいいます。よって、各々の事業所でパート社員、フルタイムパートなど様々な呼称を用いた労働者を雇用していても、その者が通常の労働者と同じ所定労働時間働く者であれば、この法律の適用はありません。

 

Ⅲ.パートタイム労働法の内容

パートタイム労働法が事業主に対して求める施策はほぼ以下のとおりです。

 

第六条(労働条件に関する文書の交付等)

パートタイム労働者を雇い入れたときは、労働基準法に基づく事項以外に、「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」を文書の交付等により明示します。

⇒ 違反の場合、パートタイム労働者1人につき10万円以下の過料とされています。

 

第七条(就業規則作成の手続き)

パートタイム労働者に関する就業規則を作成・変更する場合には、パートタイム労働者の過半数を代表する者の意見を聴くよう努めます。

 

第八条(通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止)

業務内容やそれに伴う責任の程度が通常の労働者と同等で、その職務内容及び人員配置も通常の労働者と同じ範囲内で変更されると見込まれるパートタイム労働者については、パートタイム労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について差別的取扱いをすることを禁止しています。

※第九条(賃金)および第十条(教育訓練)、第十一条(福利厚生施設)の各条文においても、その雇用するパートタイム労働者の職務内容、人材活用の仕組みや運用などに応じて、通常の労働者と同様の待遇あるいは均衡を配慮するような努力義務を課しています。

⇒ 別紙の表でご確認ください。

 

第十二条(通常の労働者への転換)

パートタイム労働者から通常の労働者への転換を推進するために、その雇用するパートタイム労働者に対して次の4つのうちの何れかの措置を講じなければならないとされています。

① 通常の労働者を募集する場合には、その募集内容を事業所に掲示するなどして、雇用しているパートタイム労働者にも周知する。

② 通常の労働者の人員配置を新たに行う場合には、雇用しているパートタイム労働者にも応募機会を与える。

③ 一定の資格を有するパートタイム労働者には、通常の労働者への転換のための試験制度を設ける。

④ ③の他、パートタイム労働者から通常の労働者への転換を推進するための必要な措置を講じる。

 

Ⅳ.最後に

今年4月から労働契約法が改正になり、今後、人的政策を進めるにあたり、このパートタイム労働法の知識も必要になる可能性があります。人事労務担当者は確認しておいた方がよい法律です。