労務管理について

プチ研修

平成25年8月

労務管理について

1.労務管理とは何か

労務管理とは何でしょうか? 岩波国語辞典によれば「労務」とは「①報酬を受ける目的で、体力(知力)によってする労働勤務。②労働についての事務」とあり、「管理」とは「よい状態であるように気を配り、必要な手段を(組織的に)使ってとりさばくこと」と定義されています。つまり、組織内の労働(事務)が適切に行われるよう企業が対処することだと言えるでしょう。

 

2.労務管理にも色々ある

労務管理もその内容に応じて色々と分類することができます。採用~退職に至るまでの雇用(契約)管理、人事評価・処遇に通じる人事管理、賃金賞与決定の賃金管理、労働時間管理、安全衛生管理、人間関係管理、労使関係管理等々です。

 

3.中小零細企業の労務管理のポイントは

中小零細企業では、まずは労使トラブルにならないためを念頭に置いて、労務管理を行っていく必要があると思います。とどのつまり、我が国の主たる労働法規である労働基準法や労働安全衛生法等に抵触しないよう配慮した労務管理です。

 

具体的には、採用時の雇用契約書(労働条件通知書)の取り決め、時間外労働を見越した時間外・休日労働協定書の締結および組織内のルールを定めた就業規則の作成と労基署への届出、健康診断の実施と要注意者への指導等です。時間外や休日労働を行った際の割増賃金の支払についても、予定される超過労働時間を見越して金額を算出し、賃金原資としてできるだけ確保しておく必要があるでしょう。社会保険料についても同様です。

人数規模も大きくなり、組織的に事業活動を行っていく必要が生じた場合には、従業員数に応じて等級区分を設け人事・賃金管理を行っていくことが望ましいでしょう。そして、処遇のみではない組織活性化のための人事考課を行って、社員のモチベーション向上につなげて頂ければよいと思います。

 

4.最後に

企業経営において、特に人の処遇については法律通りいかないケースがかなりあり、経営者の皆様は大変な思いをされていることと思います。特に、大企業と違い中小企業では管理専門の人間を置く余裕もなく、また競業している会社が社会保険の適用をしていない、割増賃金を法律通り支払っていないと思われるケースもあり、同じ土俵の上で戦えず苦慮されている企業も多いのではないかと存じます。

 

しかしながら、景気回復に伴い、今後ますます官庁等の調査も増えていくことが想定されます。必要最低限の労務管理を行って、リスクに備えていただくとともに、組織の活性化にもつなげていって頂ければ幸いです。

以上