プチ研修
平成24年9月
育児・介護休業法について
Ⅰ.育児・介護休業法とは
育児・介護休業法とは、正式には「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といい、労働者が育児や介護を行うにあたり、職業生活と両立できるよう国が法律で各種の支援制度を定めたものです。
Ⅱ.育児・介護休業法の内容
育児・介護休業法には、大まかに言うと以下のような支援制度が定められています。
育児休業・・・子が1歳になるまで育児のために休業が取れる制度
※子に対して両親ともに育児休業を取る場合には、その子が1歳2か月に達するまで産後休業を含め最長1年間育児休業が取れるパパ・ママ育休プラスという制度もあります。
※子が保育園に入れないなど特定の要件に該当する場合には、その子が1歳6ヶ月に達するまで育児休業が取れる制度もあります。
介護休業・・・要介護状態(負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上常時介護を必要とする状態)にある家族を介護するために、対象家族1人につき通算で93日間休業が取れる制度
子の看護休暇・・・小学校就学前の子に対し、病気の看護などのために年間5日間休暇が取れる制度
※対象となる子が2人以上いる場合には、年間10日間まで休暇が取れる。
介護休暇・・・要介護状態にある家族を介護するために年間5日間休暇が取れる制度
※対象となる家族が2人以上いる場合には、年間10日間まで休暇が取れる。
所定外労働の免除・・・3歳に満たない子を養育する労働者が請求した場合には、所定労働時間(例えば1日7時間の会社ならその時間)を超えて労働させることができない制度
法定時間外労働の制限・・・小学校就学前の子あるいは要介護状態の家族がいる労働者が請求した場合には、月24時間、年間150時間を超えて労働させることができない制度
深夜業の制限・・・小学校就学前の子あるいは要介護状態の家族がいる労働者が請求した場合には、午後10時~午前5時まで労働させることができない制度
所定労働時間の短縮措置等・・・3歳に満たない子がいる労働者に対し、1日の所定労働時間を6時間以下とすることを含む短時間勤務制度の導入、また要介護状態の家族がいる労働者に対し、対象家族1人につき通算で93日間、短時間勤務あるいはフレックスタイム制度などの導入措置を図ること。どちらも対象労働者の申出により取得できる。
また上記以外にも、対象労働者に対して就業場所の変更に配慮する義務や、各支援制度の申出・取得をしたことを理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止などが定められています。
Ⅲ.実際の取扱いについて
実際に、育児・介護休業法に基づく各種支援制度に関して労働者から請求があった場合には、法律の要件および会社の育児・介護休業規程に基づいて対応することが重要です。規程やそれに伴う労使協定によっては対象にならない労働者もいます。また、労働者の請求時期によってはその取得時期を繰り下げるなどの変更も可能です。特に育児休業など長期にわたる場合には、代替要員の確保なども検討する必要があり、増員に伴う会社負担や他の労働者に対して過度な負担がかかることも想定されます。普段から職場内の合意が得られるよう制度の周知徹底を図るとともに、実際に対象者が出た場合には周囲への配慮を忘れないよう指示するなど、同僚間のトラブルに発展しないような対応が会社に求められます。また、復帰後にしっかり働いてもらうよう念押ししておきましょう。