プチ研修
平成24年6月
労災保険の特別加入について
Ⅰ.労災保険の特別加入とは
労災保険とは本来、労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して保険給付を行なう制度ですが、労働者以外の方のうち、その業務の実情、災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて保護することが適当であると認められる一定の方に対して特別に任意加入を認めているのが、労災保険の特別加入制度です。
Ⅱ.中小事業主・取締役または家族従事者・一人親方の労災保険特別加入
労働者以外の方が労災保険の特別加入をするケースで一般的なものは、中小事業主・取締役または家族従事者・一人親方を対象としたものです。
・ 特別加入できる中小事業主とは、常時300人(金融業、保険業、不動産業又は小売業の場合は50人、卸売業又はサービス業の場合は100人)以下の労働者を使用する事業主
・ 取締役や家族従事者については、上記事業主の事業場に従事する者
・ 一人親方とは、労働者を使用しないで事業を行うことを常態とする者で、法律で定められた種類の事業に従事する者(個人運送・建設業者等)
また、実際に特別加入をする際には労働保険事務組合(一人親方の場合は認可を受けた一人親方等の団体)に労働保険事務を委託する必要があります。
Ⅲ.労災保険特別加入のメリット・・・もしものときに安心です(労働災害に健康保険は使えません)
仕事や通勤が原因で病気や怪我をしたときに、労災病院や指定病院にて無料で治療を受けることができます。また、仕事ができず報酬の支払いが無い場合には、休業補償給付として給付基礎日額の8割を受け取ることができます。この給付基礎日額は20,000円~3,500円の範囲で本人が決めることができ、支払う保険料も給付基礎日額をもとに計算するので諸事情に合わせて毎年の変更が可能です。
また、建設業の一人親方のケースでは、仕事の内容によって労災保険に加入していないと元請が契約しないこともあり、特別加入により仕事の範囲が広がります。親会社からの出向で子会社の役員になるケースなども、原則として労働災害に健康保険は使えませんので労災保険の特別加入をすることでリスクヘッジにつながります。
※ただし、保険給付の対象となる業務の範囲に注意してください。例えば、通常の業務ではなく事業主や役員の立場で参加する各種関係団体への出席など、就業時間中の災害でも全て労働者と同様に対象になるわけではありません。
<卸売業の中小事業主 給付基礎日額別年間保険料・委託費> 千葉SR経営労務センターの例
給付基礎日額 | 年間保険料 | 委託費/年間 | 合計 |
20,000 | 25,550 | 18,000 | 43,550 |
18,000 | 22,995 | 18,000 | 40,995 |
16,000 | 20,440 | 18,000 | 38,440 |
14,000 | 17,885 | 18,000 | 35,885 |
12,000 | 15,330 | 18,000 | 33,330 |
10,000 | 12,775 | 18,000 | 30,775 |
9,000 | 11,497 | 18,000 | 29,497 |
8,000 | 10,220 | 18,000 | 28,220 |
7,000 | 8,942 | 18,000 | 26,942 |
6,000 | 7,665 | 18,000 | 25,665 |
5,000 | 6,387 | 18,000 | 24,387 |
4,000 | 5,110 | 18,000 | 23,110 |
3,500 | 4,469 | 18,000 | 22,469 |
※卸売業の保険料率は現在のところ1000分の3.5
労災保険の特別加入手続きについては、当所までご連絡ください!!