プチ研修
平成22年8月
賃金について その8(手当の支給)
◎基本給と手当との関係
基本給とは、社員が会社で働く上での基本的対価となるものであり、基本給の金額が社員一人一人の評価といっても良いでしょう。また、手当とは基本給で補うことのできない部分をカバーするために支給されるものです。様々な手当がありますが、代表的なものとしては以下のようなものがあります。
(1)生活に関連する手当
・家族手当 ・・・ 扶養家族数に応じて支給される手当
・住宅手当 ・・・ 住宅ローンや家賃を補助するために支給される手当
・地域手当 ・・・ 地域間の物価格差等に応じて支給される手当
・単身赴任・別居手当 ・・・ 単身赴任による別居生活費等を補助するために支給される手当
・食事手当 ・・・ 食費を補助するために支給される手当
・通勤手当 ・・・ 通勤費を補助するために支給される手当
(2)仕事に関連する手当
・業績手当 ・・・ 業績に応じて支給される手当
・役付手当 ・・・ 役付者に対して支給される手当
・技能手当 ・・・ 特別な技術・能力に応じて支給される手当
・資格手当 ・・・ 資格保持者に対して支給される手当
・精皆勤手当 ・・・ 無遅刻・無欠勤を奨励するために支給される手当
・特殊作業手当 ・・・ 身体的または精神的負荷の大きい特殊作業に従事した際に支給される手当
(3)法律上支払が義務づけられている手当
・時間外・休日・深夜労働手当 ・・・ 法定時間外・休日・深夜労働に対して支給される手当
(4)その他の手当
・調整手当 ・・・ 諸々の理由に応じた賃金調整を目的として支給される手当
上記以外にも様々な手当があります(子女教育手当、愛車手当、出張手当、宿日直手当、部下持ち手当、職務手当、固定時間外手当等々)。手当は会社の考え方に応じていかようにでも増やすことができます。ただし、逆に減らすことは社員の労働条件の不利益変更となりますのでご注意下さい。
また、手当本来の役割は基本給を補完するものです。例えば、基本給の中に既に社員の業績や技能による会社貢献分が含まれている場合には、業績手当や技能手当を支給する意図は弱いでしょう。また、時間外が多い部署であれば尚更、割増賃金の関係から賞与で手当分を支払った方が会社負担は減ります。
なお、諸々の手当の中で、法律で定める割増賃金の算定基礎に含めなくてもよいとされているものは、次の7種類しかありません。
・家族手当(扶養家族数を基準として算定されるもの、一律に支給されるものを除く。)
・通勤手当(通勤に係る実費に応じて算定されるもの、一律に支給されるものを除く。)
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当(住宅に係る費用を基準として算定されるもの、一律に支給されるものを除く。)
・臨時に支払われた賃金(慶弔見舞金等を指し、出張手当や特殊作業手当等は含めない。)
・1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金(計算期間が1ヵ月を超えるもの、賞与等を指す。)
手当を新たに支給する場合には、支給目的や定義(対象者となる者)をよく検討した上で決定することが肝要です。過去に住宅手当をめぐって女性社員から申し出があり、定義があいまいなため問題が起きたケースに遭遇しました。しっかりと定めて運用しましょう。
以上