プチ研修
平成21年2月
労働時間について・・・その1(労働時間の範囲)
①労働時間とは
原則として、労働時間とは労働者が使用者の指揮監督下にあって、拘束時間から休憩時間を除いた時間のことをいいます。
労働時間 = 拘束時間 - 休憩時間
午前9時始業、午後6時終業、休憩時間が昼1時間の場合、拘束時間が9時間なので、労働時間は1日8時間となります。また、使用者の指揮監督下にあるとは、勤務場所および勤務時間が指定され管理されているか、業務内容および遂行方法について指揮命令を受けているか等で判断します。
②実務上問題となるケース
一般には上記の通りとなりますが、実務上問題になるケースもあります。例えば
①始業前、終業後の社内自由時間(拘束時間前後に社内で労働者が自由に利用できる時間)
②始業前、終業後の準備や後片づけの時間(更衣、仕事の準備や整理の時間)
③始業前の朝礼、掃除またはミーティングの時間
④終業後のQCサークル活動等の時間
⑤手待ち時間(運送業でよくある例ですが、就労のため待機している時間)
⑥就業時間中の喫茶等休息時間
⑦出張中の電車内等での休息時間
⑧労働者が自発的残業を行っていた時間 等です。
①については当然ながら原則として労働時間ではありませんが、使用者が労働時間の把握を行っていない(労働時間を記録していない)場合は、労働者の申告により労働時間とみなされる場合もあります。
②、③、④については、当該作業が業務にとって必要不可欠であり、かつ使用者の直接の支配下において行われるものであれば労働時間とみなされます。この「業務にとって必要不可欠かつ使用者の直接の支配下において行われるもの」とは、法令上の面(法令上保護具の着用が義務付けられている等)、性質上の面(作業の性質上必ず一定の準備や後始末が必要で、使用者から確認を受ける等)、社則上の面(社内の規則等により義務とされているもの)、慣習上の面(慣習上義務化していて、参加しない場合なんらかの不利益を受ける恐れがある等)から見て総合判断されます。
⑤については原則として労働時間となります。ただし、荷物の監視などが不要で車から離れられ、また会社の呼び出しにも応ずる必要が無く一定の時間を自由に利用でき、雇用契約上もその旨明記されているのであれば、それは休憩時間とみなされるでしょう。
⑥についても、あらかじめ一定の時間を定めて、仕事から解放され自由に利用できる時間であり、雇用契約上も就業時間ではなく休憩時間として明記されてあれば休憩時間として問題ありませんが、その都度合間に休む程度では労働時間とみなされるでしょう。
⑦については、原則として労働時間にはなりませんが、荷物の監視等業務の必要性の有無によっては労働時間とみなされるケースもあるでしょう。
⑧については、使用者が普段から労働者の自発的残業を禁ずるなど社内で周知しており、また実際に行わないよう指示命令してもなお、労働者が従わずに行った場合は労働時間とはなりません。しかし、使用者が見て見ぬふりをする、業務量が労働者本人の能力では就業時間内に終わらないことがわかっているのにそのまま行わせる、自発的残業の結果としてメリットを会社が享受するような場合は、労働時間としてみなされます。
以上のように、業務の性質や会社の取組姿勢によっても労働時間となるもの、ならないものがあります。