プチ研修
平成22年10月
法定帳簿
今月は、労働基準法に基づく法定帳簿について触れたいと思います。
法定帳簿とは、法律の定めに従って、事業所において作成し備え付けておかなければならない帳簿のことを言います。労働者を1人でも使用すれば、最低以下のものが必要になります。
① 労働者名簿(但し、日々雇い入れられる者は作成の必要なし)
(記載事項) 氏名
性別
生年月日
住所
従事する業務の種類(常時使用する労働者が30人以上の事業場のみ)
雇入れ(入社)年月日
退職の年月日およびその事由
死亡の年月日およびその原因
② 賃金台帳
(記載事項)氏名
性別
賃金計算期間(日々雇い入れられる者は作成の必要なし)
労働日数
労働時間数
時間外労働時間数、休日労働時間数および深夜労働時間数
基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額(現物給与はその評価額)
賃金の一部を控除した場合には、その額
また、厳密に言えば法定帳簿ではありませんが、労働者が1人でもいれば事業所に備え付けが必要となるものが、次のものです。
③ 出勤簿(タイムカード)または労働時間の記録簿
(記載事項)労働日ごとの始業時刻
労働日ごとの終業時刻
※これは、平成13年に出された「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」に基づいて、労働時間の記録に関する書類として必要となるものです。
なお、上記の①、②、③は名称や様式を問いませんので、法定の記載内容が網羅されてあれば事業所ごとの独自の名称・様式で調製しても構いません(給与台帳、人事記録簿、労働時間管理シートetc)。また、これらの帳簿書類の保存期間は3年間となっています。
今回は、基本的な法定帳簿についてのご案内であり、当然備え付けられている事業所がほとんどであることと承知しておりますが、その記載内容に漏れはありませんか?
昨今の労働基準監督署の調査において、法定記載内容が漏れているため、例えば賃金台帳や労働者名簿の修正を求められるケースがあります。特に労働時間の記録があいまいな場合には、労働者または元労働者から賃金未払い等で訴えられた際にかなり不利な状況を事業所が負う可能性がありますので注意しましょう。
個々の労働条件通知書または就業規則のみでなく、法定帳簿類も正確に備えておきましょう。
以上