社会保険・労働保険の審査請求制度について

平成28年1月

プチ研修

社会保険・労働保険の審査請求制度について

 

今月は、社会保険・労働保険の審査請求制度についてご案内いたします。

 

Ⅰ.社会保険・労働保険の審査請求制度とは

社会保険・労働保険の審査請求制度とは、平たく言えば、厚生労働大臣や労働基準監督署長等が下した処分(年金や一時金の不支給決定等)に対して不服がある場合に、不服申し立てができる制度です。

結果として原処分の取消し、つまり、請求者本人の主張が認められるケースもあります。

 

Ⅱ.審査請求制度の流れ

審査請求制度に関する流れは以下のとおりです(社会保険のケース)。

①行政から請求者本人に、年金請求等に対する処分通知書が届く。

②その処分に不服がある場合は、社会保険審査官に審査請求を行う(決定があったことを知った日の翌日から60日以内)。※但し、保険料徴収に対する不服は最初から社会保険審査会に請求。

③社会保険審査官から決定書が届く。

④その決定に不服がある場合は、社会保険審査会に再審査請求を行う(決定書謄本が送付された日の翌日から60日以内)。

⑤社会保険審査会から裁決書が届く。

⑥その裁決書に不服がある場合は、裁判所に原処分の取消訴訟を行う。※但し、再審査請求があった日から3ヵ月を経過しても裁決がないとき、決定の執行等による著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき、その他正当な理由があるときは裁決を経なくても訴えを提起できる。

 

※労働保険の審査請求制度もほぼ同様ですが、労災保険審査官や雇用保険審査官に対する審査請求に関して3ヵ月経過しても決定がない場合は労働保険審査会に再審査請求ができるなど、社会保険の場合と一部異なる取扱いもあります。

 

Ⅲ.実際のケース

知人に頼まれ、障害年金の審査請求および再審査請求を行ったことがあります。私は、恥ずかしながら年金知識はそれほど詳しくありません(専門は労務管理)。また、そのときまで審査請求をしたこともありませんでした。よって、話を伺ったときは他の社労士を紹介しようと考え、実際、年金に詳しい社労士の大先輩に打合せに同席して頂いて、その方にお願いする予定でした。

 

ところが諸事情により、結果として自分が代理人にならなければいけなくなり、審査請求を行ったのです。知人と打合せを重ねながら、新たな資料もお預かりして準備を整え、社会保険審査官に対して自信を持って審査請求を行いました。ところが、その結果は「審査請求は棄却する」との決定書が送られてきて・・・。

 

事前の下調べが必要と思い、霞ヶ関で行われる社会保険審査会の公開審理を傍聴に行きました。ただ、そこで行われるやり取りを聴いていると、かなり資料を揃えて望まないと難しいのではないかという気持ちになりました。何人かの社労士仲間にもそれとなく聞いてみましたが「原処分が覆るのは難しい、その後の裁判も考えた方がいい」と、否定的な意見も頂きました。

 

そのような状況ではありましたが、知人からお預かりした資料を拝見すればするほど、これで認められないのは不幸であり、おかしいと本心から思いました。そして、再度知人の足跡をたどり、一つずつ確認しながら、その中である医院を思い出して訪問し、そこで新たな情報提供を頂くことが出来たのです。そして、社会保険審査会の公開審理当日に追加資料として提出し、その場で切実に訴えました(この障害年金請求に関する申立ては嘘、偽りではなく真実に基づくものであり〇〇さんが早急に障害年金を受けられるべきであること、また、ここにある資料は真実を示している証拠であると)。

 

そして、公開審理から約2ヵ月後、裁決書が届きました。その結果は「原処分を取消し、障害等級〇級の障害〇〇年金が支給されるべきである」と書かれてありました。主張が認められ、行政処分を覆すことができたのです。そして、裁決書の理由の中で、公開審理当日に提出した最後の資料〇〇について、「これらの内容は〇〇の資料の記載によっても裏付けられるものということができ・・・」と示され、最後の最後に一抹の希をかけて提出した資料が功を奏したことがわかりました。

 

以上が、私が審査請求を行ったときのつたない体験です。

もし行政処分の内容に納得がいかないのなら、このように不服申し立てができる審査請求という制度があります。また、社会保険や労働保険以外にも行政不服審査法に基づく不服申し立て制度がありますので、行政から処分を受けるなど何か問題が生じた場合には参考にされると良いかもしれません。ただし、問題を起こさないことが一番ですが。

 

以上